レクサスLFAのカーボンモノコックについて

2011.02.18 Friday

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    レクサスLFA

    量産が始まった『レクサス LFA 』のカーボンモノコックについての覚書です。

    トヨタ自動車元町工場にて、2日で 1台のペースでスタートした量産型 LFA は、1日1台にペースアップして、500台の限定数を 2年間で作り、2012年12月末までに生産完了する計画。

    主要部の炭素繊維は 24K 主体。
    基本的には汎用グレードで、部位に応じて高強度タイプと高弾性タイプを使い分けている。
    東邦ナテックスの製品の場合、STS40(引っ張り弾性率 240GPa級)の 24K を主に使っている。

    モノコックカーボン部分の主要構成
    ●プリプレグ・オートクレープ成形部材:フロントバルクヘッド・サイドメンバー・ルーフフレーム

    Vf(繊維含有比率)は 55% 。

    型は線膨張係数が非常に小さいインバー合金(鉄 64% 、ニッケル 36% の合金鋼)製。
    裏面も NC切削加工して、肉厚を均等化しこれを鋼材で井桁に裏打ちした強固な構造。

    オートクレープにて、6〜7気圧で加熱・硬化させている。
    加熱温度は 130度前後だが、排気管が通るバルクヘッド周りには耐熱性樹脂を含浸させたプリプレグを使用しているため、150度で加熱している。

    本型とは別にケミウッド製の型を用意し、コレに積層してから本型で合体している。
    社内では、これをプリフォーム方式と呼んでいる。

    サイドメンバーの底部に使う衝撃吸収用の波板(コルゲート)は、熱可塑性のエポキシ樹脂を含浸させたプリプレグを使ってプレス成形される。
    従来の熱硬化性のエポキシ樹脂を含浸させたプリプレグに比べて層間剥離が起こり難く、エネルギー吸収性に富むらしい。

    ●RTM(レジントランスファモールディング)成形部材:フロア・ルーフサイドレール・クラッシュボックス

    Vf は50%前後。

    フロアの成形はプリフォーム方式でおこなわれる。
    上下型を完全にシールせず、低圧(5気圧)で樹脂を射出して、順次型締めしながら圧縮して樹脂を含浸させている。

    熱硬化性樹脂を使っているので、熱硬化を保証するため、型抜き後、高温炉で数時間ポストキュアを行っている。
    フロア周りは排気管の高熱にさらされるので、200度近い温度で 4時間行われている。

    ルーフパネルとボンネットフードも RTM成形だが、東レ製。

    RTM成形された一体フロアは、直交UD が使われ、フロアトンネル部は耐熱がある。
    フロア部の中空構造部分内部は、側突時衝撃吸収用のコルゲート(プリプレグ製の波板)をサンドイッチしている。

    ●SMC(シートモールディングコンパウンド)成形部材:ルーフフレーム一部・リヤパネル

    SMC成形部材は愛知県の内浜化成株式会社で作られている。
    カーボンSMC材:Cピラー周辺部材・リヤトランク床材
    ガラスSMC材:フェンダー・ドア・サイドパネルなど

    CFRP部品の接着
    CFRP 構造物の接着に使われる主な接着剤は、ナカセケミセックス(株)のデナタイトシリーズ 2液性エポキシ樹脂構造用接着剤(グレー色)で耐熱グレード。

    CFRP 同士の接着の場合、お互いの接着面にウォーターブラスト処理(アルミナ(酸化アルミニウム粉)と水の混合液を高圧ジェット噴射)して、表面に付着している離型剤や汚れ、油脂などを研磨除去・洗浄・脱脂してから、表面を活性化して*投錨効果を高めるための下処理を行っている。

    *投錨効果
    被着体表面の細かい凸凹に、接着剤が入り込んで硬化することで得る、機械力学的なアンカー硬化のこと。

    接着はリベット(クロムメッキ)を併用して、仮止めとフェイルセイフに活用している。

    接着作業後は温風炉の高温(数十度)雰囲気中で、数十分間の硬化反応促進処理を行っている。

    接着工程を終えたホワイトボディは 4日間かけて、ライン上を移動しながら、組立および検査を受け完成する。
    完成したホワイトボディは、ボディ剛性などの検査を行っている。

    中空構造の左右サイドメンバー部とダッシュパネル部に関しては、接着剤に単体状態で剛性検査をしている。

    ボディパネルの塗装
    LFAのボディパネルは以下で構成されている。

    品目             成形方法 製造メーカー
    ----------------------------------------------------------------------
    CFRP製ボンネット        RTM  東レ(株)
    ↑ ルーフ            ↑     ↑
    ↑ リヤウィング         ↑  東邦テナックス(株)

    ガラス繊維製フロントフェンダー SMC  小島プレス工業(株)
    ↑ ドア             ↑     ↑
    ↑ リヤフェンダー        ↑     ↑
    ↑ サイドパネル         ↑     ↑
    ↑ ピラー部カバー        ↑     ↑

    PP製 前後バンパー

    CFRP とガラス繊維で作られている部品は、成形時のピンホールや繊維の隙間を埋めるため、ゲルコート処理、その研磨目を整えるためのウレタン液プライマ(中塗)と、その水研(研磨)などの下地された状態で、小島プレス工業(株)から納品されている。

    上塗り塗料はウレタン2Kタイプ(基本的には一般板金塗装工場で行われているウレタン2K の塗装と同じシステム)で、すべてエア塗装。

    色のついたベースコートを塗装
    ベース+ウレタン2液硬化型クリアのトップコートを吹き重ねる
    90度の温風炉で 20分ほど硬化反応促進処理

    最終検査でゴミ・ホコリなどの付着があった場合、#800 で水研し、コンパウンド研磨する。

    『ホワイテスト・ホワイト(東京モーターショーでのボディカラー)』は、カラーベースの上に紫外線で青白く発行する「蛍光増白ベース」を塗り重ね、エナメルベースを吹いてからクリアを重ねている。

    『メタリックシルバー』と『パールブルー』の 2色は色合いに深みを出すため、ベースコートとクリアの 1set の上に、もう 1回ベースコートとクリアを吹き重ねている。


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